こんにちは! Star Brain Academy の堀(ほり)です。

 

今回のテーマは、「数学における国語力」です。

 

センター試験に変わって、現在の高校1年生から受けることになる「大学入学共通テスト」では国語と数学Ⅰ・Aで記述式の問題が出題されることになっています。

昨年実施された試行調査の数学Ⅰ・Aの記述問題をみてみましょう。

第1問〔1〕(4)分野:2次関数

…その理由を,頂点のy座標についての不等式を用いて説明せよ。

第1問〔2〕(6)分野:三角比

下線部(c)について,Bが鈍角のときには下線部①~③の式のうち修正が必要なものがある。修正が必要な番号についてのみ,修正した式をそれぞれ答えよ。

第2問〔2〕(2)分野:データの分析

…,その方法を,「直線」という単語を用いて説明せよ。

 

上記の3問が記述式として出題された問題です。本番でも、記述式の問題は3問程度出題される予定みたいです。いかがでしょうか。なかなか経験したことのない問題だと思いませんか。第1問〔2〕の問題はそれでも「数式を書く」ことが要求されているので数学の問題っぽいですよね。しかし、それ以外の2題はともに「説明せよ」との要求です。

私は常に授業で

数学でも国語と同じように文章を書くんだよ

と力説しています。どうも「答があっていれば満点だ!」と信じている人がまだまだ多くいるように感じています。

大学の先生が自分の大学の入試について公表する会が毎年あり、堀は毎年参加しているのですが、そこで話を聞くとどうも「数学における国語力」について、問題を作る大学の先生方と受験生の間に大きいズレがあるように思うのです。大学入試の作問をする人は、数学者です。特に数学における言葉づかいについてはとても注意を払っている人たちです。ひとつ例をあげましょう。

さきほどの第2問〔2〕(2)の採点基準の最後に以下のような注意がありました。

 

※「傾きが急」のように、数学の表現として正確でない記述は不可とする。

 

「傾き」って日常的にも使う言葉ですよね。しかし、数学において「直線の傾き」とは「直線を表す一次関数の変化の割合(yaxbaの値)」のことです。そして「急」というのは主観の入る用語です。例えばy=10xが急かどうかは数学的には定まりません。また、「傾きが急」という表現では「右上がりで急」なのか「右下がりで急」なのかも不明瞭です(本問の場合は、前者の場合のみが正しい)。

このように、数学における用語は日常語と同じ言葉がありながら、ちょっと意味合いが異なっていたり、日常語が曖昧さを含むのに対し、数学の用語というのは誰が読んでも他の解釈ができないよう厳密に定まっているものなんです。

数学を学習する上では、このように用語の正しい定義を覚えた上で文章を書く訓練を積むことが必要です。

ちなみに、大学入試センターが発表した正答率は以下の通りです。

  • 第1問〔1〕(4) 2.0%
  • 第1問〔2〕(6) 4.7%
  • 第2問〔2〕(2) 8.4%

なんとどの問題も正答率が1割に届いていないのです!それどころかどの問題も約半数の答案が白紙だったようです。

「テストではきちんと書くんで普段はいいや」と思っているといざ書こうと思ってもなかなかきちんと書けないものですよ。取り急ぎ

  • 左から右へ、上から下へ書く (あっちこっちに飛ばない)
  • インデントをそろえる
  • 一通りかけたら文章になっているか声に出して読んでみる

くらいを意識してみるといいと思います。

それではまた。

 

試行調査の問題や解答を確認したい人は↓

http://www.dnc.ac.jp/daigakunyugakukibousyagakuryokuhyoka_test/pre-test_h29_01.html