こんにちは.Star Brain Academy の平田です.
前回の数学に引き続き,2018年11月10日・11日に実施された大学入学共通テストの試行調査(プレテスト)の世界史Bの分析をお送りします!
まず,形式面ですが数学世界史Bは
- 試験時間:60分 (現在のセンター試験世界史Bと同じ)
- 問題形式:全問マークシート (記述問題はなし)
- 問題数:(34問〜)36問 (現在のセンター試験世界史Bと同じ)
となっています.世界史Bに関しては,少なくとも形式面に関してはセンター試験と変わりはありません.
では,(新)世界史Bは(現)センター試験と変わらないか?
そうではありません!
やはり,他の科目と同様に「世界史の問題」というよりも「世界史の知識を使っていく問題」が増えています.数学Ⅰ・AにしてもⅡ・Bにしても、そして世界史Bにしても
定量から定性へ!
がひとつのキーワードとなっています.
しかし, 前回お送りした数学Ⅰ・AやⅡ・Bのように, 世界史Bは時間が足りないということはないでしょう. 現行のセンター試験では, 早い受験生であれば20分程度で解き終わります.つまり試験時間内に3回解くことができるスピードです.
一方で試行調査問題では, 問題文の意図を読み取り, 正確に解答することを考えると,30分弱はかかると思われます。しかし2回は解くことができるはずですので, 余裕を持って解答できると思います.
それでは,[1]現行試験との違い, [2]対策として必要になること, [3]Star Brain Academyができること, の順に進めていきたいと思います.
[1]現行試験との違い
①選択肢の数:四択から六択・八択へ
平成30年度の試行調査問題に六択問題と八択問題が出題されました. 平成29年度の試行調査問題では出題されていないため, 本試験でも採用されるかどうかは分かりませんが, 出題の可能性は十分に考えられます.
これらの問題は, 文章の穴埋め組み合わせ問題として出題されており, (1)正確な知識 (2)適切な選択肢の絞り方 (3)他科目との関連性 の3点が求められると思います.
②新傾向の出題方式(1):設問間の組み合わせ問題
平成29,30年両年度に設問間の組み合わせ問題が出題されました. これは本試験で採用される可能性は高いと思われます. 言葉で説明をしても実感が湧きにくいと思いますので, 実際の問題を見てみましょう.
(平成29年度 設問29,30)
(1) 資料 4 と資料 5 は,相互に矛盾があるため,紛争の原因となったものである。資料 4 または資料 5 について述べた文として適当なものを,次の 1 〜 6 のうち から一つ選べ。なお,適当なものは複数あるが,解答は一つでよい。
(中略)
(2) (1)で選んだ答えと最も関連が深い事柄について述べた文を,次の 1 〜 6 のう ちから一つ選べ。
(以下略)
設問は独立しているため, 設問29は正解し設問30が不正解の場合, 前者の点数は獲得できるようです. このような新傾向の問題に対しては, (1)正確な知識 (2)適切な選択肢の絞り方 (3)このような新傾向の問題があることを予め知っておくこと の3点が求められると思います.
③新傾向の出題方式(2):正答な解答を二つ選ぶ問題
平成29年度の試行調査問題に正答な解答を二つ選ぶ問題が出題されました. 平成30年度の試行調査問題では出題されていないため, 本試験でも採用されるかどうかは分かりませんが, 出題の可能性は十分に考えられます. また, 一問正答の場合の部分点対応などは未定のようですので, 実際に出題された場合は, 完答できるようにしたいところです.
この場合も前述通り, (1)正確な知識 (2)適切な選択肢の絞り方 (3)他科目との関連性 の3点が求められると思います.
④思考力・推測力の要求
現行センター試験と比べて, 非常に思考力・推測力が求められる設問が増加しました. 特に資料読解から正答を導く問題が圧倒的に増加しています. 一方で, 知識を問う問題は減少したため, 答えがわからない問題であっても, 一歩立ち止まって考え直してみる・自分の持つ知識を総動員することで, 正答に結びつけられる可能性も残されています.
そのため, (1)正確な知識 (2)思考力・推測力 (3)他科目との関連性 の3点が求められると思います.
⑤読解力の要求
現行センター試験と比べて, 問題文の読解力をより求める問題が増加しました. 問題文の読み間違えで不正解の選択肢を選んでしまったり, 資料を照らし合わせることで, 出題者の意図を勘違いしてしまうケースがみられると思います. そのため, 今まで以上に見直しの徹底で防いでいくことが必要になるでしょう.
そのため, (1)資料読解力 (2)集中力 (3)見直す力 の3点が求められると思います.
⑥単語の背景や性格の理解
現行センター試験と比べて, 当時の時代の流れや因果関係を意識した問題が増加しました. これはただ単に一問一答の問題集をやりこむことで対応することはできません. 当時の社会状況・他国との関係で発生した出来事なのか, それによってどのような結果がもたらされ, どのような勢力が台頭したか, といったストーリーを通した学習が必要になると思います.
そのため,日々 (1)正確な知識 (2)ストーリー性の意識 (3)他科目との関係性 の3点が求められると思います.
[2]求められる対策
おそらく現行センター試験で求められていたことは
①正確な知識の暗記 (90%)
②ある程度の処理スピード・適切な選択肢の切り方・集中力・見直し力・思考力・推測力 (10%)
のように感じています. つまるところ,
正確な知識を多く詰め込み, 試験本番でいかに最大限実力を発揮するか
と要約できそうです.
しかし試行調査問題を見る限り, これでは太刀打ちできないことは明らかです. これからは
(前提としての)正確な知識に加えて
①思考力・推測力
②適切な選択肢の切り方
③他科目との関連性の意識
④単語が持つ性格(因果関係や時代のパラダイムの理解)
これらが重要になってくると思います.
[3]Star Brain Academyができること
このような新傾向の問題に対して, 私たちStar Brain Academyは以下のような授業を展開していきます.
①思考力・推測力を伸ばす
思考力・推測力は1日や2日で簡単に伸びるものではありません. 一方で, どの科目にも共通して, また将来の人生において必要な力です.
そのため, 特に世界史の授業に関していえば, すぐには答えを教えません. 問題文から読み取れることを話しながら考えていき, 自分が知っている知識までつなげていく訓練をすることで正答まで一緒にたどり着きます.
このような思考プロセスを過去問などを使用しながら講師と生徒さんが共有をすることで, どのように考えればいいのかを実感することができ, その回数をこなすことで一人でもできるように指導しています.
その際に, 他科目との関連性を意識しながら解説・対話をすることも重要視しています. 従来世界史は地理との親和性が高いと言われてきました. しかし新傾向の問題では, 地理だけでなく, 「政治経済」や「現代社会」などの知識で解ける問題も多くありました.
そこで, 地理だけではなく, 今後は「政治経済」や「現代社会」との関連性でも指導をしていきます.
②時代の流れを理解する力を伸ばす
私は「世界史上の出来事は所詮人間のやったこと・考えたことの結果である」というモットーを持って世界史を指導しています.
世界史を指導・勉強するにあたり, 「正確な単語を覚える段階」と「単語を時代の流れに埋め込む段階」の二つの段階があると思っています.
第一段階の単語の暗記は生徒さんのやる気と反復回数にかかっていますので, 勉強のペース作りや勉強法の指導を行います.
第二段階では, 「●●な背景で××事件が発生した. それを見た民衆はどう思う?それで次に発生するのは民衆による▲▲事件. 民衆が中心だから, ■■な側面が強調されているね.」といったように, 記憶した単語を時代の流れに埋め込んでいく指導を行なっています.
③受験生一人一人に合わせた授業計画で長所短所を伸ばす
受験生一人一人が長所短所を持っています. 苦手分野や得意分野, 志望校の出題傾向なども考えて受験生一人一人にとって最適な勉強法や授業展開を行うのがStar Brain Academyの強みです.
英語や数学, 国語といった主要科目だけでなく, 世界史も同様の方針のもと指導をしています.
以上,試行調査・世界史Bの分析でした.いかがでしたでしょうか.特に現在高校1年の方は大学入試改革元年の受験生になります.学習に関して,ご相談があればぜひお問合せください.