こんにちは.Star Brain Academy の堀です。
前回は2018年11月10日・11日に実施された大学入学共通テストの試行調査(プレテスト)の分析をしました。大学入試センターがこのテストの結果を発表しましたので、特に数学についてコメントしたいと思います。
1.平均点など
平均点などの情報は以下の通りです。
なお、数学Ⅰ・Aはマーク形式の85点満点部分のみです。数学Ⅱ・Bは100点満点です。
また、受検したのは数学Ⅰ・Aでは高校2年生多く52,357人、高校3年生は13,407人です。数学Ⅱ・Bは11月段階では高校2年生は全範囲が終わっていない学校が多いため、高校2年生が825人、高校3年生が4,110人でした。いずれにしても実際に受験する高校3年生の1月時よりは前段階での結果です。
とはいえ、平均得点率は国語で51.37%(高校3年生のみ)、英語筆記で51.15%(高校3年生のみ)ですから、数学は他の主要科目に比べても低い平均点でした。
また、2019年のセンター試験の平均点は、数学Ⅰ・Aは59.68点、数学Ⅱ・Bは53.21点でした。これを見ても今回の試行調査の得点が際立って低いことが見受けられます。
2.なんでそんなに平均低かったの?
単純に言って次の2点が主要な原因のようです。
- 難易度の高い問題が多く、平易な問題が少なかった
- 問題文が長すぎ、状況の把握に時間がかかる
要は難しくて、時間も足りないということですね。
1点目に関しては、作問をがんばりすぎた部分があるような思います。分析編でも述べたようにひとつひとつの問題はとてもよい良問です。時間をかけてしっかり考えてもらいたい問題でした。これをⅠ・Aなら70分、Ⅱ・Bなら60分で、というのは無茶かなと私も思います。Ⅰ・Aに満点がいたことはすごいことだと思います。
2点目に関しては、設問数でいうと前回の試行調査よりも改善されていますが、それでもまだ問題文の文章が長かったと思います。いまのセンター試験や2次試験の数学の問題は無駄な文言は一切ありません。数学の問題は基本シンプルです。しかし、共通テストでは「日常生活や社会の事象などを題材とする問題」を出題して、数学を道具として使えるかを問うという至上命題があるためどうしても問題文が長くなり、各大問の後半部分を考える時間が足りないことになってしまったという結果です。
もうひとつの大きい要因は、試行調査を受けた受検生がそこまで真面目にこの問題を解いていないということもあるように感じています。自分は実際は共通テストではなくセンター試験を受けるわけですからね。
3.本番はどうなるの?
もう試行調査は予定されていません。次は本番です。このままでいくのでしょうか。大学入試センターの結果報告書によれば次のような方針で作問するということです。
- 大問構成や選択問題については変更しない
- 数学的な問題発見・解決の過程の全過程を問う問題は大問もしくは中問1題程度
- 他は過程の一部のみを問う
- 過程の一部を問う問題でも、これまでのセンター試験とは違う問い方をする
- 文章読解にかかる時間は軽減させるが、日常生活・社会の事象を題材とする問題は最低1題シュッ大する
- 現行センター試験のような結論に至る段階的に示し問うタイプの問題も出題する。ただし、そのような場合も変数設定をしないなどの出題の工夫をする
試行調査では、センター試験と全く傾向の異なる新傾向の問題ばかりを出題したわけですが、そのような問題はもう少し減らして現行のセンター試験のような問題も一部出題されることになりそうです。選択問題は3題から2題を選択する形式なので、日常生活や社会の事象を題材とする問題などは必答問題部分で問われる可能性が高いと思われます。そして、文章量もある程度少なくなることが予想されます。
以上のように、数学に関していえば今回の試行調査の問題と本番は少しイメージの異なるものになる可能性もあるように思います。しかしながら、センター試験とはやはり異なったタイプの出題になることは間違いないので、最初の共通テストを受検することになる現在の高校2年生は、これまでの試行調査の問題を模擬的に解いてみることは効果の高い対策となると思います。このとき、時間については一旦無視して無制限で考えてみるのがよいと思います。
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