以前、教育に関する専門家でもある新井紀子先生の御著書『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』(2018)の中で
「全国2万5000人を対象にした読解力調査では3人に1人が、簡単な文章が読めない恐るべき実態が判明した」
と書かれていたのを読み、愕然としたことがあります。
またその本の中に、「大学生を対象とした数学基本調査で、数学ができないのか、問題文を理解していないのか?」との話もあり、もしやと思って生徒さん達をチェックした事がありました。
御多分に洩れず残念な結果でした…。
それからと言うもの、生徒さん達に何とか日本語の力をつけようと、思いつく事を次々試してみました。その結果、どの生徒さんもいつの間にか国語の実力がつき、苦手だったはずの国語で高成績が取れる様になりました。
現在の大学受験では、詳細な志望理由を問う大学も増えています。始めて書いてきた志望理由書を読むと、どこの大学にも当て嵌まる内容で、何故その大学を志望したのかが伝わりません。何度も話し合いながら書き直すと、最後には説得力のある志望理由書が完成します。
『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』に出会ってから5年、スターブレインでは小学生に対しても文章を書けるような対策が確立しています。大学受験の際の志望理由書も高校1・2年生から通っている生徒さんなら、全員が独自の表現で相手を説得出来る文章が書けるようになりました。
さてその方法。
今でしたら、教室の窓から駒場東大の桜を間近に楽しめます。文章を書けない生徒さんに、窓の外を眺めながら「どう思う?」と質問します。
「???」答えは返って来ません。
暫くして「綺麗です。」との返事。
「何故綺麗だと思ったの?」
またまた「???」の繰り返し。
段々に対象物を深く詳細に見る力がつき、表現力もついて来ます。
勿論この力は、どの教科にもプラスに反映してきます。
同じ対象を写した写真ですが、見え方にはbefore・afterの様な違いがあります。
文章を書ける・書けないを視覚化するとこの様な感じでしょうか。
『13歳からのアート思考』(末永幸歩著)に、モネの睡蓮の絵を見た4歳の男の子が、「かえるがいる!」と言った話があります。その絵の中に「かえる」は描かれていません。その子は、「いま水にもぐっている」と答えたそうです。彼は心の目で睡蓮の葉の下で池の中を泳ぐ「かえる」を見たのでしょう。
日本語には素晴らしい表現が沢山あります。『四季彩図鑑 雨と風と光の名前』(北山建穂著)には、聞いたことが無い表現があって驚きます。語彙力の多さと心のゆとりは比例する様な気がします。
志望理由書は入口です。
大人になっても心豊かな生活が出来るように、スターブレインでは目に見えない教育も行っています。