こんにちは!

Star Brain Academy の津久井(つくい)です。

 

前回から始まった「プロジェクト:未来への架け橋」! このプロジェクトは主に次の3つを目的として行なっています。

  • 中高生と社会経験者や大学生をつなぎ、縦(年齢)と横(ジャンル)の繋がりを増やすこと
  • これから先の人生を考えるための、中高生にとってのヒントを得て、将来の選択肢を増やしてもらうこと
  • 世の中の仕組みなどを、具体的な経験談を通じて学んでもらうこと

 

第1弾は「商社の仕事」を紹介しています。20年以上海外を拠点にお仕事をなさっている野瀬さんをお呼びして、次の4つのテーマに分けてお話を伺いました。

  1. 日本の会社について
  2. 金属について
  3. 日本と海外について
  4. Q&Aコーナー 

前回は、「1.日本の会社について(クリックすると、前回の記事が読めます)」を紹介したので、今回は「2.金属について」と「3.日本と海外について」の記事を書きます!

 

2.仕事と金属について

野瀬さんは、商社でも、その後の職業でも、「金属」関連のお仕事に就いておられました。なぜ、商社だったのか、なぜ金属だったのか、そして仕事で大事なことは何かといったことをお聞きしました。

 

なぜ商社か?

その答えはズバリ、「父親が総合商社に勤めていたから!」

身の回りにモデルケースとなる人がいて、その人への憧れが実現するというケースですね。ご両親やご親戚、さらには近所づきあいを通して、様々な仕事を見聞きする中で、仕事への具体的イメージが膨らんでいき、「自分もそうなろう!」と考えるきっかけになります。そもそも、「憧れる」と思えるような大人が周辺にいる。これが非常に大事なことに思えます。

ただ、最近は核家族化が進み、親戚関係や近所づきあいも希薄… そうなってくると、自分の周りにモデルとなる人が少なくなってしまい、「仕事」というものが遠く離れたものになっているように感じます。

そんな状況をどうにか改善しようと始まったのが、今回のプロジェクトでもあります。

 

金属関連の仕事って?

なぜ「金属」に興味を持ったのかを伺うと、「小学校の時に “ウッド合金” を目にして興味を持った」とのこと。

ウッド合金? 木?? 合金???

…などど考えていましたが、全然違いました^^; 発明者がマサチューセッツ工科大学のウッド博士だったので、そのネーミングだとか。デモンストレーションでは、「コーヒーの温度で溶けるスプーン」を披露したとか。。。それじゃ、砂糖もミルクも混ぜられない(笑)というか、そもそも飲めない…

ウッド合金

画像を見てもらうとわかると思いますが、なんと金属なのに融点70度!! ターミネータのT-1000みたいな液体金属ですね。

ともあれ、この合金との出会いがきっかけで金属に興味を持ち、その興味が仕事になったそうです。興味のあることを仕事にできるって、楽しいでしょうね。

日本は資源が少ないですから、原料を輸入して、加工品を輸出する「加工貿易」が基本です。金属を扱いつつ、トレード(貿易)ができるという点で、商社は最適ですね。

その後は、金属の圧延(圧力をかけてローラーで延ばす加工)の会社に勤めておられます。「延ばすだけ?」と思いきや、その精度がすごいのです! 例えば、スマートフォンの中で使われているものは、薄さ10ミクロン、幅2-3mmに加工されているそうです!! 下町ロケットのように、素晴らしい技術を持っている会社が日本には、ゴロゴロとあるのですね。

 

仕事で大事なこと

仕事について話を進める中で、「仕事で大事なことは?」というテーマに至りましたが、この回答はシンプルかつ普遍的でした。

仕事で大事なこと = 人間関係

「仕事は1人ではなくみんなでやるもの。楽しい仕事であっても、嫌な人とやっていると楽しくない」ともお話なさっていました。やっぱり「人」なんですね。

その意味では、同じ業種・職種でも、企業カラーというものがあります。カラーが違えば、集まる人も違います。これは「組織の三菱、人の三井」という言葉でもわかりますね。総合商社は一般に、三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅、豊田通商、双日ですが、興味のある会社のカラーを調べてみると良いですね。

また、楽しかった仕事も伺いました。スズの取引が楽しかったそうで、当時は日本でスズを扱っているのは3-4社しかなかったそうです。「自分が日本のスズを動かしている」という高揚感の中、毎日真夜中まで仕事をしていた時は、充実して楽しかったと追慕なさっていました。

3.日本と海外について

次のテーマは「日本と海外」。先ほども書きましたが、野瀬さんは合計23年も海外勤務の経験がおありで、中国は18年。オーストラリアでも勤務なさっておられたので、中国・オーストラリアの話を中心に進めます。

 

中国

18年も勤務なさっていただけあって、中国のお話は多岐に渡りました。簡潔にまとめると…

  • 食事は美味しい
  • 65歳以上の人口は1億人以上いて、お年寄りを大切にする
  • 競争社会なので鍛えられた結果、世界でも戦える人材が多い
  • 辛抱弱く、喧嘩っ早い
  • 環境汚染がひどい

中国の話では、何と言っても食事ですね。上海・北京・広東・四川と一般に「4大中華料理」と呼ばれるものの違いや、日本人にあっている料理まで様々に話をしていただきました。食べ物の話は大好きなのですが、膨大な量になってしまうのでここでは割愛します(笑)。印象に残っている話では、「上海ガニ」。高級食材で有名な上海ガニですが、このカニは繁殖力が非常に高く、たいていの気候で生育が可能なんだとか。船のコンテナに潜り込んでいた上海ガニが、目的地に到着した時にはワサワサと繁殖していたという話は、驚きでした。

次は「人口」です。日本の10倍以上の人口を有する中国ですが、65歳以上人口はなんと1億人! 日本人がほぼそのままいるんですね。儒教の影響もあってか、お年寄りをとても大切にする国だそうです。

人口が多い影響として、「競争社会」が挙がっていました。人数が多いから、必然的に競争も激化するわけで、北京大学や清華大学(昔は文系の北京大、理系の清華大というイメージが一般的でした)では、入試の倍率が100倍を越えるようです。東京大学の倍率が3倍前後ですから、その違いは歴然たるものですね。

対照的に、辛抱強くなく、喧嘩っ早いという点もあります。一人っ子政策の負の側面として、甘やかされているために、自分の思う通りにならないと我慢がならない人が多かったそうです。結果、喧嘩に発展することも。

最後は「環境汚染」。食事のマナーが日本とは全く異なっている点や、廃棄に対する考え方など、環境汚染が進んでしまう文化的な側面をお聞きしましたが、少し時代を遡ってみると、日本も同じように公害に悩まされていた時代がありました。オリンピックや万博のような国際大会や展示会を契機に、都市全体が綺麗になっていくのはよくあることのようですね。日本で言うと東京オリンピックと大阪万博がきっかけになって綺麗になっていったように、2008年の北京オリンピックと2010年の上海万博を経て、少し綺麗になったようです。

 

オーストラリア

実は今回、お話を伺う際も、オーストラリアから帰国なさった直後にお越しくださいました(フットワークが軽い!) 今でもオーストラリアは、行き来なさっているようです。要点をまとめると…

  • 気候、人柄、治安が良い
  • 食べ物が美味しい
  • 資源が多い
  • 働き方がもったいない
  • 刺激が少ない

気候・人柄・治安が良いという点は素晴らしいですね。確かに、ワーキングホリデーなどでもオーストラリアは鉄板の地域ですから、これらの点は納得がいきます。オーストラリア料理はあまり知らないのですが、食事も美味しいとくれば、住むのにも、観光にも理想的ですね。

加えて、資源が多いという特徴もあります。石炭・天然ガス・ウランといったエネルギーから、鉄鉱石やボーキサイトや金などの鉱物資源まで、世界有数の埋蔵量です。

一方、豊富な資源という状況に甘んじている点は否定できない、とのこと。せっかく資源があるので、それらを加工して輸出すれば良いのですが、ゆったりとしたお国柄が故か、その流れがなくてもったいないと感じていたそうです。そういった面も含めると「刺激がない」と感じる人もいるようですね。

 

いかがでしたか? 今回は、「仕事」とのつながりと「海外」とのつながりを中心に話を綴りました。簡潔にまとめると…

  • 身の回りに “憧れる大人” がいることで、将来の仕事が決まることもある!
  • 興味を持ったことを、仕事にできることのワクワク感
  • 海外経験を元に、中国とオーストラリアのディープな話を聞きました。

 

次回は、この話を聞いたあとでのQ&Aコーナです。高校生がどのような疑問を持ったか、それに対する野瀬さんの回答を紹介します!

それでは、お楽しみに!!