2月28日更新
2022年東工大数学の解説動画を作りました!
第1問の解説は↓からどうぞ
残りの問題も随時作成していきます!
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こんにちは。スターブレインの堀です。
慶応大理工に引き続き、2022年2月25日に実施された東工大数学の解答速報をお届けします。
昨年はコロナでの休校に配慮してか数学Ⅲからの出題が減っていました。2022年は5題中3題が数学Ⅲからの出題となり、やや以前の傾向に戻りました。ただ、本格的な求積の問題はなく、複素数の問題が2題でやや偏りがあるように感じました。また軌跡(厳密には写像の値域)が正確に求められるかということが問われている問題が多いです。全体を通して、定型的な問題はほぼなく重厚で高い思考力が要求されたセットでした。トータルでの難易度は例年並みかと思います。
第1問 複素数平面(数学Ⅲ) 標準
2次方程式の解の取りうる値の範囲を複素数平面上に図示するという、極めてシンプルな問題です。zが実数の場合と虚数の場合に分けて考えますが、特に実数の場合を適当に感覚的に答えを出してしまいそうです。上の解答ではできるだけ厳密に書いたつもりです。解答の表現も採点で見られている部分です。参考にしてみてください。
第2問 整数の性質(数学A) やや易
最大公約数が1である3数に関する問題です。見た目に対称性もあり、考えやすい問題だと思います。ポイントは「a×bが素数pの倍数ならば、aとbの少なくとも一方がpの倍数である」という言われてみれば当たり前のことをしっかり理解できているかを問う問題でした。
なぜかは分かりませんが、2022年は東京大、京都大、東工大の3校がすべて3数の最大公約数の関する出題をしていました。う~ん、偶然?
2021年も東大と東工大で円と曲線の位置関係が被っていました。トレンドというやつでしょうか。次年度以降も要注意です。
第3問 軌跡(数学Ⅱ) やや難
理系の場合、ベクトルを用いて点Pのパラメータ表示をしたくなるところです。それでもできますが、もっと図形的に考える簡単です。点Pは直線上を動くことが分かりますが、(2)では「点Pの動く道のりを求めよ」ということです。これは暗に誘導になっていて、実は点PはUターンするので直線上を2重に動く部分があります。yの方を主役にすることがポイントです。これを数学Ⅲのパラメータ表示の問題ととらえて積分したりすると面倒なことになります。(3)はむしろ式的に考えた方がよいと思います。
第4問 複素数平面(数学Ⅲ)標準
(1)は複素数平面上での軌跡の問題で、計算が面倒ですが本年で唯一定型的な問題で落としたくない部分です。(2)は通過領域を求める問題ですが、これまた計算がややこしいです。パラメータを含む軌跡というのはいわゆる「逆像法」で考えることが原則です。単にパラメータを消去すればよいと考えている人は上の解答を読み解いてみましょう。
第5問 定積分と極限(数学Ⅲ) 標準
例年もっとも難しい最後の第5問ですが、2022年は標準的でした。パッと見には難しそうなので、捨て問と勘違いした受験生も多かったかもしれません。(1)は単に積分計算をしたあとに、方程式の解の存在を微分法を用いて示すという典型的な問題です。(2)は「積分の平均値の定理」というちょっと珍しいものを使うのが普通だと思いますが、知らなくてもなんとかなったでしょう。(3)はなぞのSn,k,iという記号が定義され、Σやら∫やらがたくさん現れますが、ひとつひとつ意味を考えていけば「全部でk回ルーレットを回したのだから、出目の回数の合計はk」という当たり前のことを式に直すことがポイントです。(4)も見た目が区分求積なので、その方向にもっていけば解決です。
ということで、今回は2022年の東京工業大の解答速報をお届けしました。
東工大の数学は180分5題で1題あたり平均36分もかけられる試験ですが、それでも時間が足りないっ!と思います。
対策としては、東工大や東大レベルの思考力を要する問題をじっくり腰を据えて考えることしかありません。これから東工大を目指そうとしている中学生・高校生の方は是非、ただドリルをこなすだけでなく難しい問題を何日も試行錯誤を繰り返すことで(解ける解けないは二の次です)思考力を高めていきましょう。