こんにちは。スターブレインの堀です。

2023年2月25日に実施された東工大数学の解答速報をお届けします。

昨年は複素数の問題が5題中2題あり、やや偏りを感じましたが、今年は逆に複素数の問題は確率にチラッと顔を出すだけでした。また、昨年は出題されなかった、昔ながらの東工大の「本格的な求積の問題」が出題されました。

昨今、東大をはじめなぜか共通テストのように問題文が長くなる傾向があるように感じます。物理などもそうだったようです。ところが、東工大の本年の問題はどれも数行しかなく(大問1はなんと1行!)シンプルに数学の問題を問うものでした。

昔ながらの東工大と新しい色々な分野を問う新しい東工大の融合といった様相です。

難易度の面では、やはり定型的な問題はほぼなく重厚で高い思考力と計算力が要求されたセットでした。トータルでの難易度は昨年並みでしょう。

第1問 微分積分(数学Ⅲ) 標準

定積分の評価に関する問題です。「評価」は難関大では最重要なテーマです。ガチで積分計算をしてはいけません。ちょっと大きく見積もったり、小さく見積もったりすることでだいたいの値を考えていきます。上からの評価は簡単ですが、下からの評価は少し苦労すると思います。下では関数が下に凸であることを使ってみました。他にも、インテグラルの中身の関数を評価するなど色々な方法があるので、別解を考えてみるとよいと思います。

第2問 整数の性質(数学A)標準

昔は「東工大といえば微積!」でしたが、いまは「東工大といえば整数も!」というくらいに整数問題が定着してきました。本問もとてもシンプルな問題ですが、いろいろな方法が考えられます。整数問題では

  1. 積の形を作って、素因数の分配を考えていく
  2. 不等式を立てて、範囲を絞る
  3. 余りを考えていく(合同式の利用)

という3つの原則があります。本問はそもそも積の形をしているので、まずは素因数の分配を考えつつ、大きく2つの連続3整数の積があることに着目しましょう。素因数の分配だけで押し切ってもできますが、後半は3次関数が単調増加していくことから範囲を絞ってしまうと少し見通しがよいと思います。いずれにしても大変です。しかし、ゴリ押すことで最後の答まで出せる問題なため、是非解き切りたい問題でした。

与式の86400ってなんだろうと思ったら、1日がちょうど86400秒でした(笑)

第3問 確率と数列/複素数(数学A、数学B、数学Ⅲ)やや易

確率も近年になって東工大で頻出な分野です。一般に数え上げするしかない問題は、試験においてはコスパ(最近はタイパ?)が悪いといわれています。逆に漸化式を立てるような問題は比較的易しいことが多く得点源としたいテーマです。本問は(1)は数え上げるタイプで、(2)は漸化式の問題でした。とはいえ(1)にしても(2)にしてもそれぞれのタイプの典型的な問題にすぐに言い変わってしまうため、全体を通して最も簡単だったはずです。しかしながら、入試の極限状態で一見すると複素数と確率の融合になっていることもあり、冷静に難易度が見極められなかった受験生も多くいたはずです。

第4問 微積分(数学Ⅲ)やや難

円柱からやや小さめの角柱を取り除きます。それを2本もってきて直交させたときの重なる部分の体積を求める問題です。このような2つの立体図形を重ねる問題は、東大や東工大では頻出です。しっかり対策をしてきた受験生が多かったと思います。ポイントは

「共通部分の断面」=「断面の共通部分」

ということです。つまり、2つの立体図形を同時見る必要はなく、ひとつずつを切断して、それらを平面上で重ねればよいのです。ただ如何せん、計算が面倒すぎます…。計算力が大事というメッセージですね。

第5問 空間ベクトル(数学B) 標準

昨年もそうでしたが、最後の第5問だからと言って最も難しいというわけではありません。これまた昨年と同じく「なんか考えにくそうな問題だなぁ」というのが第一印象ですが、「うん!図形的には無理。式処理に徹しよう」と思えばただの計算問題です。空間内の角の二等分線の処理がテーマでした。これは平面であれば普通の問題なので、同様に考えていけばよいな、と思えれば手が動いたと思います。ただし、空間内で点と直線の距離は測りにくいため、最初だけちょっと図形的に考えてやる必要があります。このように難関大では

最初にちょっと図形的な処理をして、後半は式処理に徹する

という問題が好きです。以下では正射影ベクトルを使っています。便利なので、使えるようにしておこう。

ということで、今回は2023年の東京工業大の解答速報をお届けしました。

東工大の数学は180分5題で1題あたり平均36分もかけられる試験ですが、それでも時間が足りないっ!と思います。

対策としては、東工大や東大レベルの思考力を要する問題をじっくり腰を据えて考えることしかありません。これから東工大を目指そうとしている中学生・高校生の方は是非、ただドリルをこなすだけでなく難しい問題を何日も試行錯誤を繰り返すことで(解ける解けないは二の次です)思考力を高めていきましょう。

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